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2024/01/26 19:12

2023.1.6
 

 

下道 千晶 モデル・俳優。
2015年に、房総半島へ移住。
自然に寄り添う暮らし方を実践中。
また、天然藍を使った染め直しの活動「meets BLUE project」を始め、活動を通して持続可能なライフスタイルを提案している。
 
  
息子は、ピアノを習っています。
週に一回、土曜日の朝、家から少し離れた場所まで、車で送ります。
息子がピアノを習っている30分、私は近くのコーヒーショップでコーヒー豆を買うのが習慣です。そのコーヒーショップは大きな屋根と木の柱が特徴的で、お店の前には小さな水車があります。壁一面に大きな瓶に詰められたコーヒー豆が並んでいて、様々な産地、ブレンド、味や香りの特徴を丁寧に紹介している札がついています。
いつもその豆たちを眺めながら札をじっくり読み、どれにしようか悩むのが私のささやかな楽しい時間です。いつものコーヒー豆200gと、チャレンジしてみる100g。それが定番の組み合わせになっています。
わが家は、豆はコーヒーを淹れるときに自宅で挽くので、お店では挽いてもらわずに豆のまま袋に入れてもらいます。ここではシンプルな茶色い紙袋に入れてくれます。ぴっちり閉じて、テープで留めてくれるので、紙袋がピチピチ、パンパンで、ころころしていて、なんだかとっても大切なかたまりに感じるのです。 

息子がレッスンを終える頃、買ったばかりの豆と一緒に教室に向かいます。
車の中がコーヒーの香りでいっぱいになり、うっとりしてしまいます。
レッスンの終わる少し前に駐車場に着くと、かすかにピアノの音が聞こえてきます。
ポーン、ポロポロ…
つたなくて、愛おしい音です。
車内のコーヒーの香りと、かすかに聞こえる息子のピアノ。週に一回の至福の5分間です。
 
永遠にこの時間が続くといいのに…、なんて思っていると、「ありがとうございましたぁ!」と教室から飛び出してくる6歳児。
さっきまでの静けさはどこへ…?
車から出て、先生と今日のレッスンはどうだったか少しおしゃべりをします。
息子のピアノの先生は、声楽やリトミック、そして教育も勉強されていて、音楽を全身で楽しむことを教えてくださいます。
大手音楽教室に比べると進度が遅いなんて声もあるようですが、息子にはまずは「楽しい」「好き」を大切にしてほしいので、「できる」「できない」はあまり気にしてはいません。
 
こんなふうに、親も息子ものんびりしているからか、練習も毎日はしていなくて、気が向いたらする、時間があったらする、といった具合ですが、この年末年始はお休みも長かったので、いつもより練習していた気がします。
今は「きらきらぼし」を練習しています。聴いていて危なっかしくなるくらい一生懸命に鍵盤をたたいていたので、試しに「今度はお星様がきらきら~ってして、それを見て綺麗だな~って気持ちで弾いてみて」と言ってみたら「わかった!それってオレはどこにいるの?」と聞くので「どこでもいいよ、きみの居たいところで」と言ったら「そっか」と言ってピアノに向かいました。
すると先ほどとは違って優しいタッチで、ゆったりとした弾き方に変わったので、「わぁ、お母さん今のきらきらぼしすっごく好きだったよ!どうやって弾いたの?」と聞くと「えっとね、オレの胸の中がキラキラでいっぱいになって、ふわ~んって感じだよ」と教えてくれました。
うわぁ、なにその世界。素敵。すごい。私もやりたい。


今回は音楽を通してだったけれど、息子の空想の話、もしもの話、彼からみた世界への疑問。そのひとつひとつから、私はいつも気づきをもらっています。
表現やお芝居の仕事で、「胸がきらきらでいっぱいになって、ふわ~んって感じ」やれるようになりたいな。仕事だから一生懸命にやることも大事だし、上手にやることも大事なんだけど、そのことで頭がいっぱいになるよりも先に、作品から生まれる感情で胸をいっぱいにしたい。そしてその純度を出来るかぎり保ったまま、外に出せるようになるといい。
そういうことだけに集中できたら、どんなに素敵なんだろう。
でもそれが難しいこともある。大人になった私は知っている。けれど、例えば目の前の理不尽や厳しさに、萎縮したり心を閉ざしてしまいそうになったときには、息子の「キラキラ、ふわ~ん」を思い出して、もう一度勇気を持とう。
勇気を持って、向き合い続けよう。
  
それでもやっぱり傷ついて、自分自身を信じられなくなったときには、自分を取り戻す時間をたっぷりと取ろう。
例えばジョシーユ スキン&マインドのオイルのギフトセットを自分にプレゼント。
たくさんの植物の恵みをこの1本に集めたオーガニック植物配合のトータルケアオイルと、鮮度の高い原料をていねいに精製した熊本産の生馬油のセットです。

トータルケアオイルはレモン・グレープフルーツなど柑橘系の後から甘く可憐な花の香りが追いかけてきます。オイルなのにサラサラとしているから、肌にすっと馴染み、フェミニンケアもできるので、デイリー使いがオススメのオイルです。
こっくりリッチな質感の生馬油は、オイル初心者の私はスペシャルケアに。スポイトから吸い上げて2,3滴ずつ手に取り身体にぬったら、優しい何かに包まれ、守られているような感覚になります。夜のボディケアで、翌朝までしっとりとしたお肌を保ってくれるのが嬉しいです。

そうやって、質のいいオイルを使ったり、お気に入りのコーヒーを豆から挽いたりしながら、いつもより時間をかけて自分を眺めてみます。眺めながら、大人になったつもりで着込んでいたものをひとつひとつほどいてみたら、そこにいるのは、今の息子と同じ、6歳の頃の自分です。大人になるために置いてきてしまったと思っていたけれど、ずっとここにいたのね。そのことが恥ずかしいやら、嬉しいやら。
息子が一生懸命に鍵盤をたたくように、一生懸命にしてきたことは、これまでの私を助けてきたけれど、これからは仕事でももっと、楽しいほうへ、わくわくするほうへ、綺麗な景色が見えるほうへ。
6歳の自分に見せたいと思う景色を、作っていけたらいいなと思ったのでした。